goodday20221010のブログ

読書日記、たまに暮しを綴ります

読了(いかれころ)三国美千子

★いかれころ 三国美千子


「いかれころ」は、踏んだり蹴ったりという方言らしいです



三島由紀夫文学賞受賞らしい作品



南河内の豪農・杉崎家の長女で、分家をしてもらった久美子を、母にもつ4才の奈々子の視点(大人目線)で、描かれています 



設定に無理ありますが、、



人間関係が複雑だけど、不思議と心惹かれます



エゴが、強い人々の中にあって、少し心を病んでしまった叔母志保子(久美子の妹)は、奈々子に優しい



やがて叔母志保子の縁談は、破談に 



奈々子の嫌いなものは、志保子だけが知っている

例えば

牛乳に張る膜

冷や奴の上にたれた醤油シミ 

目玉焼きの黄身の上のかたまらない白身 



奈々子は、幼稚園でのいじめや、先生の理不尽な態度に、杉崎家の一員として正しさで対抗しようとする



好きな人と結婚できず、家を守るため婿養子を迎えざるをえなかった母の久美子



旅行・同窓会・デパートの買い物・趣味のお稽古で、気を紛らわせるが、効き目はない



婿養子の久美子の夫は、「 俺は養子になってるんや



別れるなら慰謝料もらうのは、俺の方や 



久美子父名義になっている分家を、売り払ってお金の半分はもらう 」と絶望的なことをいう  



久美子のような母親を持つと、奈々子も大変だっただろう



昭和58年

この閉鎖感は、この時代この地方で、残っていた

例えば

結納金一本やて 

私生児 生まれが生まれやさかい 

結納にしみのついた、久美子の振袖着る妹 

心を病む優しい叔母

「ほーじ、アカ、セイシン」等、子供の言葉でもその中に潜む差別に気づく



どこの家にも表現しづらい家風、考え方がおのずと踏襲され、一方でそれに反発する心もあり



周りの自然・風景を豊かな表現もあり



やっぱり、文学作品だ



お読み頂きありがとうございます

素敵な一日をお過ごし下さい(^^)