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読書日記、たまに暮しを綴ります

読了(排除の現象学)赤坂憲雄

★排除の現象学 赤坂憲雄



1980年代に世間を騒がせた数々の事件から、現在にも通じる傑作評論と、今年また岩波文庫から出ました 



近代は、それ以前の古い世界を支えてきた人と人のきずな、共同のきずな、人と自然のきずななどが、なし崩しに壊れていったという



それ以前の時間を、古びたもの、否定されるべきもの、非合理的なものと抑圧し、曖昧に葬り去ろうとしたと



著者は、それらをきちんと引き受けてこなかったことを自覚することが大切だと



それが、現代に、何が来たるべき時代の予兆をなすのか、何が埋葬・遺物なのかに役立つという



排泄物はなぜ臭いのか、悪臭を発しているからでなく、私達が予め嫌悪するから臭いのでは



もちろん生理的自然と考えられるが、排泄物は、ひとつの歴史的・社会的な所産である




著書では、排泄物=排除される=異人 と書かれている



その漂わせる異臭ゆえに、私達の胸をむかつかせ、排除にむけて集団的暴力を組織させるが、、



それ以前に、異人は排除の対象へおとしめられるから、異臭を放ちはじめる というもの




異人は、組織集団の中で、供犠(いけにえ)となった 供犠が日常化されてしまったという




1980年代の事例

異人のプロセスとは



❶いじめ


生きがたさの極限まで追いつめられ、登校の義務の足かせを解かれない以上、自殺や殺人、登校拒否という非常手段しか選べない



いじめれた子がいなくなれは、次のいけにえの子が、、果てしなく、、



子供たちはいつ自分がそうなるか、神経をはりつめる 



いじめる子は、大人に気づかれないよう巧妙、いじめられた子は、さらなる報復が怖くて大人に言えない



❷ホームレス殺害


健康な差別と対比され、不健康さが示唆される



不幸不潔奇型の人々とは、違和感なしに向かい合うことができなくなった



ブラウン管の「弱者いびり」がなくなった漫才ブームのあと、少年たちの遊戯的に行われた浮浪者狩りはひとつながりといえる




❸宗教千石イエスへの批判


イエスは、妖術師、構造的に曖昧かつ不明確、それ故に一般に不安や嫌悪がまきおこる




❹障害者施設の地域設反対

ワンルームマンションの反対


反対する人たちは、鏡の部屋というユートピアを望みがちだ


郊外のニュータウンも含め、無機質、えたいの知れない隣人がいないことを望む



つまり、直接的ふれあいの可能範囲を、超えない関係世界を形作ろうとする志向がある




❺通り魔 


精神鑑定の影響があった 

現代は、違ってきている



❻超常現象のつながり


かぐや姫症候群(アニメや物語の主人公を体験したい、転生願望)などなど



❼その他の異人


番頭はんと丁稚どん

(オツ厶が少し弱いが可愛らしい)


シンちゃん(人が人を差別する時の隠語)


丹下左膳(片目片腕)


これらは、現代は題材とされなくなった


また昔話では、乞食は神の末裔(柳田国男)とされている



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