goodday20221010のブログ

読書日記、たまに暮しを綴ります

読了(ひとりで生きられないのも芸のうち)内田樹

★少しだけ、クリスマス🎅🎄



★ひとりで生きられないのも芸のうち


この文庫は、2011年初版ですが、今読んでも新鮮です


以前「日本辺境論」を読んでから、ブログ「内田樹の研究室」は時々読んでました〜


1950(昭和25)年生 

専門はフランス現代思想 



非婚・少子化・大不況の時代、若者は、いかに生きるべきか 



処方は、「常識ある大人」の頭数をもう少し上積みすること

●自分の与えられた場所で、自分の割り当てより、少しだけ多めに働く 


●それは、システムの瑕疵カバーにつながり、又良いことなら、黙ってやること


その持ち出しが、贈り物です



(その他)

まずマルクス主義の難点から

●マルクス主義者には、不具合に当事者意識がないこと 


彼らの仕事は「可及的すみやかにこの社会秩序を転覆せねばならない」という階級的使命に尽くされる


だから、マルクス主義者が一定数いると、社会秩序は長くもたない



●システム機能不全に陥らせているのは


「ちゃんと仕事をしてくれる人がどこかにいるはずだ」という無根拠な楽観だ



●当事者意識がない人達の制度改善努力は、「文句をつけること」に限定される



●批判者を受けとめる人達を、きちんと再生産する制度を、担保しておかなければならない 


そういうことが、自分の本務であると



そういう人が5人に1人の割合が目標



●「ひとりでは生きられない」という事実を能力とし


コミニケーション能力の開発、他者と共生する仕方の工夫に力を注ぐ



●働きたいのに、仕事に就けない若者は、自分にむいた仕事という条件に呪縛されているように思われる 



こういう人は、一部仕事を自己表現のようなものと考えている



そうでなく、適性のない仕事に対するモチベーションをどう維持するかにしなければならない 

推し活もモチベーションにつながる




●報酬は、つねに集団によって共有され、個人的努力にたいして、個人的報酬は戻されないのが、労働だ



だから、集団をともにする人の笑顔を見て、「わがことのように喜ぶ」ことができない人は、労働ができない



●今、オレの仕事と、隣の人の仕事が、分断され


自分の仕事は、自分が100%責任を持ち、その成果も損失も自分が引き受けるスタンドアローンな労働環境だ



やりがいのある仕事に見えるが、モジュール化された仕事は、賃金が安くなる 



このシステムを、雇用者達は最大限に利用した 



だから、同じ立場の労働者と連携する機会を失い、労働条件を切り下げ、モチベーションを損なっていることに気がつかない



●自己利益の追求は、オールマイティではない 


人間は、自己利益の追求を後回しにして、集団全体のパフォーマンスを向上させることに快楽を感じる能力を持つ(他の生物より)



●他人との比較や、富を求めて、過重労働になるストレス、社会の結束が崩れる は、健康を損なう原因だ (ハーバード大学公衆衛生学の研究者より)



●強者は、勝ち続けることができるものではなく、何度も負けることができる余力を備えたもの


弱者は、一度も負けられないという追い詰められた状況にある



人間の強弱は、勝率でなく、負けしろで決まる



●葬送儀礼

万人に例外なく、訪れる死を苦痛なく受け入れる上で、安らかに死ぬこととは、どういうことかを先取り的に経験している



●自分のまわりに、健康と幸福を願わずにいられない人は、そうでない人より、健康と幸福に恵まれる可能性が高い


キャッチボールのように、祝福とは本質的に相互的なものだから



●上野千鶴子さんのおひとりさまの老後は、安全で豊かな社会を前提にしたもの



●若い人達は、ひとりで生きるノウハウを学ぶより、他者と共生することの大切さと、ノウハウを学ぶべきだ 


他者とは、家族、友人、仕事の仲間



●「あなたにはいつまでも幸福でいてもらいたい」と他人に贈ること



「僕は、赤貧で他人に与えるものは何もありません。それより僕にまずください」という人は



その言葉で、自分に呪いをかけていることに気づいていない 



そういう人は、豊かになっても、贈与しない 


困ったとしても、自分ですべて手に入れなければならないから



作者は、合気道や能楽など、身体的能力に関する文章もあり、そちらも面白いです



お読み頂きありがとうございます

素敵な一日をお過ごし下さい😊