読了(ひとりで生きられないのも芸のうち)内田樹
★少しだけ、クリスマス🎅🎄
★ひとりで生きられないのも芸のうち
この文庫は、2011年初版ですが、今読んでも新鮮です
以前「日本辺境論」を読んでから、ブログ「内田樹の研究室」は時々読んでました〜
1950(昭和25)年生
専門はフランス現代思想
非婚・少子化・大不況の時代、若者は、いかに生きるべきか
処方は、「常識ある大人」の頭数をもう少し上積みすること
↓
●自分の与えられた場所で、自分の割り当てより、少しだけ多めに働く
●それは、システムの瑕疵カバーにつながり、又良いことなら、黙ってやること
その持ち出しが、贈り物です
(その他)
まずマルクス主義の難点から
●マルクス主義者には、不具合に当事者意識がないこと
彼らの仕事は「可及的すみやかにこの社会秩序を転覆せねばならない」という階級的使命に尽くされる
だから、マルクス主義者が一定数いると、社会秩序は長くもたない
●システム機能不全に陥らせているのは
「ちゃんと仕事をしてくれる人がどこかにいるはずだ」という無根拠な楽観だ
●当事者意識がない人達の制度改善努力は、「文句をつけること」に限定される
●批判者を受けとめる人達を、きちんと再生産する制度を、担保しておかなければならない
そういうことが、自分の本務であると
そういう人が5人に1人の割合が目標
●「ひとりでは生きられない」という事実を能力とし
コミニケーション能力の開発、他者と共生する仕方の工夫に力を注ぐ
●働きたいのに、仕事に就けない若者は、自分にむいた仕事という条件に呪縛されているように思われる
こういう人は、一部仕事を自己表現のようなものと考えている
そうでなく、適性のない仕事に対するモチベーションをどう維持するかにしなければならない
↓
推し活もモチベーションにつながる
●報酬は、つねに集団によって共有され、個人的努力にたいして、個人的報酬は戻されないのが、労働だ
だから、集団をともにする人の笑顔を見て、「わがことのように喜ぶ」ことができない人は、労働ができない
●今、オレの仕事と、隣の人の仕事が、分断され
自分の仕事は、自分が100%責任を持ち、その成果も損失も自分が引き受けるスタンドアローンな労働環境だ
やりがいのある仕事に見えるが、モジュール化された仕事は、賃金が安くなる
このシステムを、雇用者達は最大限に利用した
だから、同じ立場の労働者と連携する機会を失い、労働条件を切り下げ、モチベーションを損なっていることに気がつかない
●自己利益の追求は、オールマイティではない
人間は、自己利益の追求を後回しにして、集団全体のパフォーマンスを向上させることに快楽を感じる能力を持つ(他の生物より)
●他人との比較や、富を求めて、過重労働になるストレス、社会の結束が崩れる は、健康を損なう原因だ (ハーバード大学公衆衛生学の研究者より)
●強者は、勝ち続けることができるものではなく、何度も負けることができる余力を備えたもの
弱者は、一度も負けられないという追い詰められた状況にある
人間の強弱は、勝率でなく、負けしろで決まる
●葬送儀礼
万人に例外なく、訪れる死を苦痛なく受け入れる上で、安らかに死ぬこととは、どういうことかを先取り的に経験している
●自分のまわりに、健康と幸福を願わずにいられない人は、そうでない人より、健康と幸福に恵まれる可能性が高い
キャッチボールのように、祝福とは本質的に相互的なものだから
●上野千鶴子さんのおひとりさまの老後は、安全で豊かな社会を前提にしたもの
●若い人達は、ひとりで生きるノウハウを学ぶより、他者と共生することの大切さと、ノウハウを学ぶべきだ
他者とは、家族、友人、仕事の仲間
●「あなたにはいつまでも幸福でいてもらいたい」と他人に贈ること
「僕は、赤貧で他人に与えるものは何もありません。それより僕にまずください」という人は
その言葉で、自分に呪いをかけていることに気づいていない
そういう人は、豊かになっても、贈与しない
困ったとしても、自分ですべて手に入れなければならないから
作者は、合気道や能楽など、身体的能力に関する文章もあり、そちらも面白いです
お読み頂きありがとうございます
素敵な一日をお過ごし下さい😊
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