goodday20221010のブログ

読書日記、たまに暮しを綴ります

読了(植物忌)星野智幸

★植物忌


SFファンタジー短編11編


「忌」を使っていることからも

現代社会を、皮肉りながら

植物と人間の関係を、書いています 



読んでいると、植物側へと吸い寄せられるような 



作品は、「人間」と「植物」の二択を迫られ、植物であることを選ぶ人間が、たびたび登場します 



植物との対話シーンも面白い 



植物は、直接ささやきかけてくることもあれば、幻影といった形でも出てきます 



「スキン・プランツ」

ファッション・タトゥーとして、植物を、直接肌に植える技術の発展と、人類の生物種としての、進化を書いた



「ディア・プルーデンス」

疫病が、蔓延した世界で、部屋に引きこもる少女と、青虫の交流を、絵本のような世界観で書いた



「ぜんまいどおし」

植物との同化を願って、植物転換手術を受けた青年の経験



その手術を、受けることを決めた元彼女に、思いとどまるように、説得した手紙もあります



「ひとがたそう」

植物の反乱と、それを食い止める、組織ネオ・ガーデナーの抗争



「避暑する木」

たとえ、1本の木が枯れても、別の場所に、飛んだ種が芽吹けば、種の保存が続く 



ひとりの少年が、ある強い想いと共に育てた木の種を、人の手を借りながら、世界へと運び、やがて、繁栄へと導いていくプロセスを書いています



「記憶する密林」

植物が、記憶を蓄積するさまが書かれています



「踊る松」松を偏愛するから、ヒントに書いたもの



「桃源郷」

坂口安吾「桜の森の満開の下」を、下敷きに書いたもの  


桜は、死体を吸っているから、美しく妖しく咲いている そういう桜の発想をもとに書いた



「喋らん」

開発されたらんは、他の植物とは違い、話しかけると答える 


意思疎通しなくても、なんとかなる 


どうにかなる 

そして、人間の言葉は、壊れてしまう


やがて、人間たちは、人間同士で会話するのが、バカらしくなった 




植物の声を、言葉にすることに

力を注いだ作品、、、でした




お読み頂きありがとうございます

素敵な一日をお過ごし下さい😊