読了(暗闇に戲れて 白さと文学的想像力)トニ・モリスン
★暗闇に戲れて
白さと文学的想像力
作者は、アメリカ文学でピュリッツァー賞他
1993年、アフリカ系アメリカ人として初めてノーベル賞を受賞
ハーバード大学での講義から生まれた、人種問題をめぐる革新的著書です
ポー、トウェイン、ヘミングウェイの作品を通じて差別の構造を分析
白人男性中心のアメリカ文学史の支えている思考を取り出し、分析、限界を指摘しました
またアメリカ文学を評価する上で基盤そのものも革新した と
日本人にとって、アメリカは明治以降、常に近しい国だが
それはアメリカの知識を、我々が豊富に持っていることでない
アメリカ文学自体が、実は日本人にとって遠い存在で
イギリス・フランス・ドイツ・ロシアの文学の方が、明治以降の日本において、近代文学として輸入され続けてきたから(ノベルと分類)
アメリカ文学の主流は、ロマンスと呼ばれ、空想や冒険、恋愛など
波乱万丈なエンタメ的な面白さ中心だから
「普遍的な価値観」という、ヨーロッパの男性知識人が
都合のいいように作り上げた文学観が、アメリカにも輸入され
それは、アメリカの白人男性のローカルな価値観でしかない と
人種差別という行為、そうした人種差別の源になるのが、人種主義だ
人種主義が、アメリカにおいて、現代にいたるまで、存在している
根源は、奴隷制がある
ヨーロッパはもともと強固な階級が存在するが、それに不満を持つものや、野望があるものは
自由平等のアメリカに来て「奴隷主」になった時に
奴隷が同じ人間なのに、自分の自由平等は主張しながら
他人(奴隷)の自由平等は、否定しているのだ
こういう矛盾を抱え込む精神を解消するために
奴隷と自分達は、違う種に属し、動物に近い、劣った存在であるという考える必要が発生した と
何らかの人々の手で、自分達の利益になるよう社会的に作られたものである(構造主義)
奴隷制が廃止されても、その後ヨーロッパから移民として入った人々にも、利益があったから、意識?は続いた
ヨーロッパの人々が、中東イスラム教徒達についての概念をオリエンタリズムというが
作者は、アメリカ版のアフリカニズムと呼んだ
フロイトが提唱した心理的メカニズム ↓
自己のうちに、醜い感情や性質があることを認識し
なおかつそれを受け入れると、自己がもたない場合
他者に、そうした否定的な部分を投影した上で、その他者がそうした性質を本質的に持つと思い込む
(投影)
他者を犠牲としながら、素晴らしい自己を保つことができる と
だから、オリエンタリズムにおいて、なぜイスラム教徒に、矛盾した性質が、付与されたかよくわかる
本書を、きっかけにアメリカ文学に人種関係に、鋭いメスを入れた作品として興味をもたれるようになった
本書が出るまで、白人男性を中心としたアメリカ文学だったが
女性作家や人種的マイノリティの作家にも再評価が進んだ と
強烈な光を放つ、アメリカの歴史・社会・文化に、影となっている暗闇には
いない存在として、扱われてきた黒人達が押し込まれている
同時に、白人達の暗い部分もだ
その「暗闇」によってアメリカの輝かしい白さが、保証されている
※訳者解説がなければ、読むのに時間がかかった本かと、、
お読み頂きありがとうございます
素敵な一日をお過ごし下さい😊
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