goodday20221010のブログ

読書日記、たまに暮しを綴ります

読了(すべての、白いものたちの)ハン・ガン

★すべての、白いものたちの


ノーベル賞受賞作家


「少年が来る※」の執筆後、しばらく休むため、訪れたワルシャワ※※とソウルで「白い」を書いています



※韓国の民主化運動史における最大の悲劇の一つ、光州事件を扱い、その犠牲になった死者達を描く



※※1944年9月の市民蜂起後、ヒトラーが見せしめとして絶滅指示を出した都市、爆撃で95%以上の建物が破壊された



原タイトルは、直訳で白い、文学作品です



韓国語、白い色を表す言葉


ハヤン→真っ白な、綿あめのような清潔な白


ヒン→白い、生と死の寂しさをこもごもたたえた色


作者はヒンを書きたかったと



解説の平野啓一郎は、章構成と転換を試み、象徴性と現実性を備えた詩的文体である 


歴史や政治や言語の根源的な条件(思想的実践含む)の中、その渦中に生きる人の心の底を繊細に描いていると



●第一章

生まれて間もなく死んだ姉について語り、「今、あなたに私が白いものをあげるから」と呼びかけて、姉に自分の人生を手渡す ここで、私→姉へ



●第二章

姉は、ワルシャワの街を歩き、そこで見た白いものを語る



●第三章

再び叙述は私に戻る


姉と私の生が両立するのは、不可能と悟る 私はソウルに戻り、姉に惜別の儀式を行う、亡き母に贈る衣装を焼くことである そして、私は息を思い切り胸に吸い込みながら、生きていくことを誓う=命の鎮魂と恢復(元に戻る)の祈りが描かれてます



神を信じない作者は、この本を大切にしていると



翻訳者は、読者の判断に委ねるといいながら、この作品は読むというより歩く作品、通過する作品と言っています



お読み頂きありがとうございます

素敵な一日をお過ごし下さい